島の声:山西利恵:明らかにして観る

著者:本橋英里

(Read the English version of the interview here.)

「島の声」とは?
島の人からものづくりに対するさまざまな「声」
を届ける連載インタビューです。

今回はAtelier Mittaの山西利恵さんをご紹介します。
現在、アート島センターとAtelier Mittaは共同運営で店舗・オンラインショップにて商品を販売しています。着物リメイク、雑貨制作、カラーセラピー診断など多才な利恵さんの声をお聞きください。

直島で活動する理由とは?直島を選んだ理由をお聞かせください。
直島には10数年来、展示やライブ、旅行で来ていましたが、住むとは思っていませんでした。長年、東京に居て都内で住まい兼お店の引越し先を探していたんですが、どうにもこうにも見つからず。途方に暮れて、高松の実家に帰省した際に、ふと直島に立ち寄ったところ、知り合いの方から住まい兼お店のできる場所を見せていただいたのがきっかけです。その蔵に私のお店の守り神にしていた古い大黒天と全く同じものが2体並んでるのを見た瞬間、ここに来るんだなと思いました。
東京から引越した遠因はオリンピックでもあるので、自分の意志とも違う、不思議なご縁だなという気持ちを抱えたまま直島で活動しています。

着物や保多織など使用するスタイルをお持ちの利恵さん。このスタイルに辿り着いた経緯を教えてください。
15年ほど前よりフランスの古い布やレース、パーツを使って制作していたところ、お客様より着物で何か作れないかというご相談を多くいただくようになり、着物のリメイクを研究するようになりました。保多織は好きで、シーツなどを長年使っていたのですが、直島に来てから香川の伝統素材で作りたいと思い、保多織で制作するようになりました。

山西利恵さん

ものづくりって自分の芯がしっかりしていないと作れないと思うんですが、ものを作る上でこだわっていることや昔から変わらないこと、変わったことはありますか?
私自身では糸一本も作れないので素材を大切に使おうと心がけています。着物のリメイクも保多織のアイテムも、まず大きいものから作っていって、小さな端切れはパーツにして使い切るようにしています。リメイクによって素材を出来る限り活かせるように考えます。
昔から変わらないことは、ひとつひとつ違うものを作ること。変わったことは、熱が出るまで作り続けたりはしなくなったこと。

無駄なものを出さないようにするのは、作り手にとってこれからの大きな課題でもあると思いますが、利恵さんが今までに影響を受けたこと、人、言葉など教えてください。
数えきれないほどありますが、人生の師をひとり挙げるなら、パリでnippoという日本のアンティーク店をしているジルベールさんです。美しさの観点やライフスタイルを学ばせていただいたり、長年、作品についてアドバイスをもらったりしています。

直島にきて価値観は変わりましたか?
価値観は変わりました。その日の天候に合わせて予定を立てる、動きやすい格好をする、物はなくても生きてゆけるなど、内なる野性が磨かれていると思います。


直島でお店を出してみて直島町民から得たもの、それにより、ものづくりのスタイルは変わりましたか?
スタイルが変わったとは思いませんが、ご近所の方からさまざまな修理の依頼をいただくようになりました。バッグやズボン、テント、器の金継ぎなど。町民の方たちがものを大切にしているということが伝わってくるので嬉しくなります。

カラーセラピーについてもお聞きしていきます。
以前、カラーセラピーを受けた時、自分の心理状態やその時に抱えていた気持ちだったり、すごく納得のいく結果でとても楽しませていただいたのですが、利恵さんがカラーセラピーを始めたきっかけは何だったんでしょうか?
カラーコンサルタントである高坂美紀先生の本を友人が勧めてくれたことがきっかけです。それ以前もお客さまが「この色の物が欲しい」と明確に色を指定されることが多く、それはどういうことだろうと興味深く感じていました。私はひとりで雑貨店をしていたので、自分の健康のためにもカラーセラピーを本格的に学びたいと思いました。

そのお客さまみたいに自分の中で好きな色がある方もいると思うんですが、やはり人柄や性格も色に現れてくるものなのでしょうか?
好きな色や服装にその人の気持ちや性格が表れますし、この色が心身に作用して、こういう性格になると言えるので、色と心理状態は相互的に影響し合っています。マンガや戦隊ヒーローなどのキャラクターも色と個性が一致している場面がほとんどです。

「色と人の繋がり」その関係性とは?
服装、インテリア、景色などの見える部分から、心理、健康状態という部分まで、人の生活のありとあらゆる側面に色は大きく深く関係しています。色は光であり、電磁波ですので、目で見ていなくても身体で感じて生体反応を起こします。無意識に人は色から多大な影響を受け続けており、数千年前の古代から色を健康に活かす研究がされています。

利恵さんが色から得たものを教えてください。
日常の深度。健やかに生きる手がかり。明らかにして観る、ということ。


最後に利恵さんのこれからについて教えてください。
人々が心身健やかに生きること、困りごとを色で解決するためのお手伝いがしたいです。色をテーマにした町おこし、色を活用した人材募集、伝えたいメッセージを色で伝えるお花のブーケ、体調回復のためのインテリア、免疫力を上げる色の活用法、色によるブランディングなど、色の特性を活かせることがたくさんありそうです。

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利恵さん、興味深いお話をありがとうございました。
Atelier Mittaさんの商品はオンラインショップでも販売しているのでぜひチェックしてみてください。

今後も島の声を展開していく予定です。どうぞお楽しみに!

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