孵化する夜の啼き声
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孵化する夜の啼き声

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Photographs by Kisei Kobayashi

 小林紀晴 写真集

小林紀晴が日本各地の祭事、祭祀を撮りつづけたシリーズが、遂に一書となった。第22回林忠彦賞を受賞した「遠くから来た舟」の流れを汲み、比較的知られた祭から地元に秘められた奇祭まで、40ほどの祭の光景を収める。
闇を深く背負い、人ならざるものとして立ち現れる姿に、祭と現実との交錯を見、感覚の奥へと遡るような衝迫を捉える。さらに目を惹くのは、岩場に見え隠れする身体や、夜の浜辺の裸体、出番を待っているのか、静かに佇む扮装の影。
意識と無意識、俗と聖との境界に立つ姿を等身大で写し出した。
本書には、幾つものトンネルや、疾走する車中からの光景が現れる。それは全体を通して、空間を移動する眼差しを感じさせるとともに、日常をくぐり抜け、奥へ奥へといざなわれる異界への通路とも見える。フラッシュバックするバスの後ろ姿。写真そのものもまた、個の意識を超えていこうとする瞬間に貫かれている。


発行:赤々舎
サイズ:A4変型
ページ数:128 pages
並製本

Published in December 2019.
ISBN: 978-4-86541-109-6